ほとんど全てのハンディターミナルには、IrDAという赤外線を用いた無線インターフェイスが搭載されています。ハンディターミナル同士の通信や、パソコンとの通信仲介機器である通信クレードルとの通信にIrDAが使われています。そのほかにも、ハンディターミナルとセットで使われることの多い携帯プリンタとの通信インターフェイスとしても利用されています。 ハンディターミナルの標準無線インターフェイスであるIrDAですが、送受光部を接近させ、向かい合わせなければならず、無線としてはかなり使いづらいものであると言えます。 近年、その使いづらさを解消することで、積極的に採用されてきているものが、周辺機器制御に用いるBluetooth無線と、いわゆる無線LANと呼ばれる無線ネットワークインターフェイスです。
まずはお手軽なBluetoothをご紹介します。パソコンの世界ではまだまだ本格的に普及していませんが、ハンディターミナルの世界では、無線LANのようにアクセスポイントなどの仲介役が必要ないこともあり、周辺機器制御のための手軽で便利なインターフェイスとして一般的に使用されています。 1対1の接続ですから用途は限られますが、特に携帯プリンタへの印刷に関しては最も優れたインターフェイスであるといえます。RS-232Cだとケーブルが邪魔になり、IrDAだと送受光部を向かい合わせなければなりません。Bluetoothは、このような作業者の負担を軽減することができ、作業効率の向上につながります。 そのほかにも出先からBluetooth対応のモデムや携帯電話と連携し、本部へ収集したデータを転送するといった運用も実現可能です。
インターネットの普及に伴い、ごく当たり前になってきた無線LAN。ハンディターミナルにおいても国際標準規格IEEE802.11b/g/a対応が進められており、既に無線LANインフラがある場所での運用であれば、新たにアクセスポイントなどの設置も必要ありませんので、積極的に利用されてきています。
Bluetoothと異なり周辺機器制御ではなく、無線LAN内に設置されたデータベースとの間で、作業情報の取得や作業結果の更新をリアルタイムに行うために利用されており、即時性や正確性が要求される業務では、既に無くてはならないものになっています。
無線LANは安定して動作するようになってきましたが、使う上で考慮しておかなければならないことがあります。それは「機械は壊れるもの」だということです。無線LANを構築しているいずれかの機器に問題が発生すると、最悪の場合、ハンディターミナルはまったく役にたたない物になります。無線LANによるシステムを運用する上では、そのような状況になったときの代替運用を準備し、日頃からシミュレーションしておく必要があるでしょう。