ハンディターミナルで最も一般的な利用方法は「データ収集」です。
倉庫管理を例にとると、商品を受け入れたときの入荷履歴、棚に格納したときの入庫履歴、棚から取り出したときの出庫履歴、向け先へ発送するときの出荷履歴などのような履歴がデータ収集されています。
収集されたデータはサーバー上のデータベースに格納され、システム上で加工・解析することで、「なにが」・「どこに」・「いくつ」在るかが一目瞭然となり、受注の可否や発注時期の判断などが円滑に行えるようになります。
また、在庫を抱えているところでは必ず実地棚卸作業が必要になりますが、月末や期末の時点で実際の在庫数量をデータ収集し、データベースに格納すれば、理論在庫数と実数に差異がある商品を簡単にリストアップすることができるようになります。ひとつひとつの商品の実数と台帳をチェックするのではなく、あとから問題のある物だけをピックアップして調査できるので、棚卸も効率化が図れるでしょう。
このようなデータ収集は、パソコン上での手入力や、パソコンに直結したバーコードスキャナで読み取ることでも行えます。ただし、商品や部品を出し入れする現場というのは、パソコンを置けないような塵や埃まみれの環境というところが多いことや、いちいち特定の場所に商品を運んできていては効率が悪いことから、人が動いてデータ収集するための端末であるハンディターミナルの利用が非常に多くなっているのです。
もうひとつ、ハンディターミナルでよく利用される運用して、作業の正確性を高めることを目的とする「データ照合」があります。代表的な業務に入荷検品が挙げられます。事前に入手しておいた入荷予定と実際の入荷商品との照合を行い、届いていない商品や、届く予定があるにもかかわらず届いていない商品がある場合に、ハンディターミナル上でアラーム表示するものです。 そのほかピッキング(荷揃え)や出荷時にも、出荷指示データとの照合により誤出荷をなくす為に利用されています。
通常は「データ照合」の結果を、前述した「データ収集」の履歴データとして利用し、「データ収集」と「データ照合」を一度の作業で行なえるようになっている場合がほとんどです。 ハンディターミナルによって運用されるシステムは、作業者の方が正確な履歴データを効率良く残せる仕組みを運用に合わせて構築していくものです。「データ収集」は作業者の負担になりますが、「データ照合」などの処理をうまく組み込むことにより、作業者の負担やミスを減らすことが出来るでしょう。